ぎぶいちブログ

長い人生をより楽しくをモットーに「ビジネス」「英語」「投資」「健康」などに関する発信をしています。ここに到達したあなたの「おみやげ」が見つかりますように。

Vol.5 新規事業立ち上げ奮闘記 ~知識の獲得と手法の理解~

スポンサーリンク

f:id:yuki_peace888:20230618204422j:image

新規事業立ち上げにおいて重要なことは何なんだろう?
どのように進めるのが定石なんだろう?

新組織として新規事業立ち上げの手法をアイデア創出起点のアプローチと、顧客の「不」発想のアプローチの2つに決めた。

組織発足初月の4月の時点の私は、新規事業立ち上げに詳しいわけもなく、組織の発足直後は、毎日必死に知識のインプットに努めた。それぐらい何をすればいいのか?という不安に駆られていたのだ。

もちろんメンバーも新規事業立ち上げに関する知識やスキルがあるわけではないが、メンバーを明るい未来に導くためにも、マネジャーとして導くに足りる情報や知識は不可欠だ。

実際には、Googleで「新規事業 立ち上げ方」「ビジネスアイデア 発想法」「ビジネスモデル 作り方」など数えきれないくらいパターンで検索した。

新規事業立ち上げのコンサルティング会社や、アイデア発想のマネジメントツールを扱っている会社などのホームページには、新規事業立ち上げのコツのような無料ダウンロード資料が用意されているケースがある。
個人情報をばらまいて、資料をゲットしていろいろな情報を整理して、自分なりに新規事業立ち上げに関する要点を押さえていった。

新規事業に関しては書籍から学ぶことが多かったと思う。

この記事では、新規事業立ち上げを行うための大きなステップ、失敗しないために押さえるべきポイントを紹介します。
この記事を読んで、まずは「型」を学び、そこからあなたの業界、会社、商品やサービス、組織にあった内容にカスタマイズしていくのがいいと思います。

目次

新規事業を始める前に理解しておくべきこと

既存事業と新規事業の違い

まず、既存事業と新規事業の違いを理解しておくべきことが重要であり、大きく特徴を分けると以下のような違いがある。

f:id:yuki_peace888:20230618173820p:image
過去の成功や失敗を分析して、見込みを立てて改善を積み重ねていく既存事業とは異なる部分が多い。
ある程度のことに満たされている社会や顧客にとって新しい価値を探索していくことは重要でありながらも、非常い難易度の高い挑戦である。

新規事業開発の難しさ

また「センミツ」という言葉があるように、新規事業のアイデアは1000個のうち3つくらいしか成功しないと言われている。それくらい新しい事業を成功させることは難しい。

だからこそ失敗を許容するだけでなく挑戦を奨励する経営層がいるかどうか、挑戦する風土が社内に醸成されていくかは重要である。

社内での新規事業開発の特性

日本ではスタートアップの企業よりも社内起業が向いているともいわれている。これは年功序列や終身雇用といった日本特有の雇用体系も影響しているが、新規事業で起業する場合、資金、スキル、人材と多様なリソースを会社という後ろ盾なしに揃えないといけない。

成功すれば自分自身へのリターンは大きいが、その分リスクも比例して大きくなる。社内での新規事業立ち上げの場合、各種リソースは関連部署と連携することで得ることができる。たとえ失敗したとしても会社を辞めさせられることもない。

ただ、新規事業が大成功したとしても、人生が変わるほどの報酬や名声を得れるというのは個人での起業とは圧倒的に異なるだろう。その分、社内で新規事業を起こすうえではスタートアップに負けない熱量をどう湧き起こせるかも重要である。

f:id:yuki_peace888:20230618204500j:image

新規事業開発のステップ

最終的に収益性の伴う事業創出が目的なので、それまでにどんなステップを,超えていけば良いのかを理解するのが大事。

それを明快に理解させてくれたのが麻生要一さんが書いた「新規事業の実践論」だ。

ステップを6つのステージに分け,それぞれでやるべきこと,次のステージに行く昇格条件を示してくれている。本書に書かれたステージは以下のとおり。

f:id:yuki_peace888:20230618173832p:image

引用:「新規事業開発の実践論」- 麻生 要一 -

新規事業立ち上げの重要な観点

本書の中で、その後の検討にも特に役に立ったと個人的に感じた点を紹介する。

WILLの形成

なぜあなたがその顧客課題を解決したいのか?という意思の強さがとても大事である。新規事業の立ち上げのなかで具体的な「手段」は変わっていくかもしれないが、何を達成したいのか?どんな社会課題を解決したいのか?という強いブレない想いが重要。これは個人ではなくチームとして強いのか?という観点が重要。

顧客起点で考え続ける

WILLの想起においても、誰かの何かを解決したいという「誰か(WHO」があり、その顧客のことを考えることが非常に重要。

ENTRY期においても、「顧客は誰か?」を考え、ありありと顧客像をイメージできるレベルまで考える。そして「顧客の課題は何か?」を考え、お金を払ってでも解決したい根深い課題の仮説を見つけることが重要である。

仮説を構築するENTRY期と、実際にソリューション仮説を顧客にぶつけるMVP期では「顧客に実際に会う」ことが重要。仮説を顧客に持っていき、修正するというサイクルをいかに多く回して仮説を磨き上げれるかが良い新規事業を立ち上げるための肝となる。

本書では「300回顧客に会え」と書かれている。それくらい顧客の声を聞くことの重要性が語られている。

最初の顧客 Primary Customer

「イノベーターの中のイノベーター」であり、セグメントとかではなく「世界にたった1人」しか存在しない顧客と定義さるのがPrimary Customerである。

新規事業立ち上げプロセスのなかでインタビューに協力してくれた顧客は、新たな商品をサービスが発売したときに、真っ先に買ってくれるかもしれないが、その判断にはこれまでの関係性や情緒的な理由が加味されているはずである。

そのため、Primary Customerは身内や関係者でなく、初めて商品やサービスに触れてから購入に至った顧客であり、購入した後も使い続けてくれ、満足している顧客のことである。このPrimary Customerの成功をいかに達成させられるかを考えることが重要。
新規事業の仮説を立てるときも、「顧客は誰か?」というクリアなイメージからスタートしている。「買ってよかった」という体験を作ることが重要であり、際に買って満足してくれたPrimary Customerは、何を評価したのか?何が解決できたと感じているのか?などPrimary Customerの成功体験からビジネスの更なる成長を考えることが大切。

f:id:yuki_peace888:20230618204528j:image

LTV>CACという観点

MVP期での実証を通じてソリューションに確かな自信を獲得したあとは、SEED期で顧客を拡大するための方法が見つけられるか?が重要な課題となる。
その際に「LTV>CAC」が成り立つかを見極めていくことが重要となる。
■LTV(Lifr Time Value)
1顧客が関係性が継続する期間にもたらす利益の総額
■CAC(Customer Aquisition Cost)
1顧客を獲得するのに要した営業やマーケティング費用の総額

新規事業は、よほどの高単価・低原価率の製品でないと、「LTV>CAC」が成立しにくいと言われている。そのため営業やマーケティングにおいても何かしら既存の手法とは異なるユニークな手法が必要になるケースが多い。

売上はどの企業も追いかける業績目標であることは間違いないが、LTVやCACという概念はどこの企業も精緻に追いかけているというものではないと思います。

市場が飽和し。顧客がある程度満たされている中、継続的に価値のある体験を提供できるか?というワンタイムバリューではなくライフタイムバリュー(LTV)の考え方は今後も重要になると考える。

ちなみにSEED期では、実際に商売が成立し、グロースドライバーが発見できていることが、次のステージへの昇格条件になっている。ここをクリアできれば、最初の大きな投資に踏み込む判断ができるようになる。

新規事業開発の敵は社内にあり

「既存事業の業務」においては、失敗のリスクを下げて、成功確率を高めるための社内会議やそのための準備は価値があると思われている。
一方、新規事業開発となれば、優秀な人ほど以下な5つの目的と4つの対象を組み合わせた無限のアクションをやりがちだと言われている。
社内で「ああだこうだ」言ってる暇があれば、顧客に会いに行け!が答えである。

■5つの目的
「確認・事例・調査・会議・資料作成」
■4つの対象
「社内・上司・先輩・競合」

事例
・上司に今後の進め方の確認
・社内の他部署の事例収集
・競合の事例調査
・社内でのアイデアブレスト会議
・社内プレゼン資料の作成・確認

こうしてみると、新規事業開発だけでなく既存事業においても無くすべきアクションはあると思う。

立ち上がってもいない新規事業を「正しく評価する」なんて芸当は誰もできない。正しく評価できるのは「顧客」だけ。

なのだが、最終的には自社の経営陣に理解してもらう必要がある。投資の判断を決める決裁の場である「社内会議」には入念な準備が重要

社内会議は「重箱の隅をつつく会議」である。良い提案を持ってくるのは当たり前で、「よいかどうか」ではなくは、重箱の隅をつつく、リスクや数値や意義などのネガティブな質問に対して適切に応酬が必要になる。

社内会議の重要な目的として「決議したことを、上司に説明できること」がその場の決裁者にとっては非常に重要である。OKの判断をしたのに、社長に説明する際に説明できなければ、その担当者はできない奴という評価をされる。
だからこそ重箱の隅をつつく質問が繰り広げられる。

f:id:yuki_peace888:20230618204600j:image

経営陣がまるで敵かのように新規事業立ち上げプロセスにおいて失敗の要因をつくることもある。
できもしないのに、最初からアイデアを評価したり、決裁権限を降ろさず、すべてを決めようとしたり、新規事業に「規模」を問うことで前に進めなかったり、経営陣が新規事業開発に与える影響度は大きい。

このように既存事業をベースとした思考で経営陣が新規事業開発に向き合っていると大きな足かせとなる。だからこそ失敗を許容し、挑戦を奨励する文化を経営陣から発信されていることがとても重要。

新規事業立ち上げのステップや失敗しないために回避すべきことを学び、自身の上司にも「顧客起点」の重要性はことあるごとに伝えることで浸透させ、われわれの部署の存在意義は新規事業を立ち上げることだけでなく、表面的な「顧客視点」ではなく真の顧客起点で事業を行っていくことを推進することだとまで考えていた。

新規事業立ち上げをどのように進めるかのステップを学び、さらにどうなると失敗するのかを押さえたうえで具体的に前に進み始めた。

次の話 〜ビジネスアイデア創出の考え方〜

前の話 ~アイデアと顧客の「不」~