ぎぶいちブログ

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Vol.4 新規事業立ち上げ奮闘記 ~アイデアと顧客の「不」~

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新規事業開発は何から着手すればいいのか?

どんな事業もずっと順風満帆というわけにはいかない。VUCAの時代と言われるなか、既存事業に陰りが見えてきた時に、多くの経営者が新規事業について考えるんじゃないでしょうか。

成功確率が非常に低いと言われる新規事業開発。私も社内で新規事業を生み出す部署として、何から始めていくのかを決める必要があった。

「雲を掴むような目標だから、失敗を恐れず行動してから考えていこう!」と、私の上司が事あるごとに言ってくれたことは、大変励みになったことを覚えている。

先行き不透明ななか、まずは私は2つのアプローチで新規事業立ち上げというゴールに向けて進めていくことを決めた。

前の話を読まれてない方はこちら→ ~想いなしでは始まらない~

そもそもの新組織発足の背景

そういえば、なぜこの組織が発足したのかを書けていなかったが・・・

まず前提として、私の会社の事業はBtoBということを補足しておきます。

既存事業の売上減少が続き、衰退期に入ったことに経営層が強い危機感を持って組織を発足させた・・・というわけではなかったというのが当時の自分の認識だった。

おそらく、既存事業の成長率が徐々に低下し、競合他社との競争も一層激しくなっていた中、「こまままではいずれ衰退する。何か新しいことをやる必要がある!」と経営層は思っていたのだろう。

実際に、われわれの業界を取り巻く外部環境変化によって、マーケットの状況が厳しくなることは想定されていた。
画期的な機能のある商品開発もなかなか難しく、商品のコモディティ化によって買い手の圧力が増し、競争環境も厳しくなっていたのは事実だ。

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新規事業を検討する時期は衰退期ではなく成長期か成熟期が良いと言われている。

成長期・成熟期は資金・リソース・人材も充実しており、リスクも既存事業の売上でカバーすることができる。新規事業は膨大なコストとリソースが必要であり、軌道に乗せて利益が出るまでにも一定期間が必要なケースがほとんどだ。

筋の良い新規事業を立ち上げようとしたとしても、衰退期の場合は結局投資が愛着のある既存事業に向いてしまう。リスクを踏まえた新規事業への投資がされないという事例が多く、新規事業は検討を開始するタイミングが重要である。

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どんな新規事業を目指すのか

新規事業は大きく分けると以下の図のとおり既存事業とは異なる3つの領域に整理される。
私の組織がどこをターゲットに新規事業を開発すべきかも考えていく必要があった。

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新規事業というと新しいマーケットに新しい商品・サービスを提供していくことをイメージしやすいが、既存事業のビジネスモデルを変えることによる成長もひとつの方向性と考えていた。

あくまでも例として挙げるなら、現状の売り切りのビジネスモデルをフリーミアムやサブスクといった課金モデルに変え、ユーザーの体験を変えていくことで顧客提供価値を上げるといった手法も選択肢となる。

私の部署はボスの方針に則って、2つのアプローチで新しい事業を具体化していくことを選択した。

新規事業開発に向けた2つのアプローチ

1.アイデア起点のアプローチ

私の部署が発足するまでは、新規事業を専門に行う組織はなく、マーケティング部門が新しいビジネスモデルを着想し、いくつかのアイデアを検討しようとした歴史はあった。

ただし、マーケティング部門は基本的に既存事業に関する業務が優先されるため、新しいアイデアに個人としては着想したとしても、リソースの不足などで本腰をいれて組織を動かして検討されることはなく、実現せずに立ち消えていった。

自身も新しい販売メニューを一部のメンバーと検討してた時期もあったが、中途半端な検討のまま放り出した。

だからこそ新部署が立ち上がったのだが、マーケティング部門からだけのアイデア募集では、過去の成功体験や経験値による固定観念が邪魔をして、突拍子もない面白いアイデアは出にくいだろうということで、全社員を対象としてアイデアを募集する打ち手を進めていくことになった。

この時点では「全社からアイデアを募集する」ということだけを決めて、具体的にどのように進めていくかはゼロから頭を悩ませながらメンバーと検討していくことになった。

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2.顧客の「不」起点のアプローチ

市場が成長し、商品の一部の機能を改善したり追加すれば一定の売上成長が見込めた時期は、顧客の顕在化したニーズに基づいた製品開発が奏功して事業の成長を実現してきた。

一方で、商品がコモディティ化し、顧客が抱える問題もあるていど解決されてくると、今あるもので十分という声も大きくなっていった。
われわれの商品を選ばなければいけない理由は小さくなっていたのだ。

顧客の経営状況を考えると商品を更新する頻度さえ徐々に長期化していた。

なんだかんだ、市況が厳しくなる中でも現場の営業マンの泥臭い活動によって商品の提供価値以上に成長できたことは否めなかった。

本当に何をどうすれば当社が抱える既存事業が衰退期に入るリスクを回避できるのか?は重要なテーマであった。

ボスの当時の口癖であった「商品が売れるかどうかは最終的には顧客が決める。」という言葉を受けて2つめのアプローチは、リクルートの新規事業開発で重要視されている顧客の「不」(不満・不便・不安、不都合など)を見つけることを優先して考え、その深刻な問題を解決するソリューションを探してアプローチで進めていくことを決めた。

新規事業開発に関してド素人の自分が上位方針や上司の口癖を踏まえて考えた2つのアプローチ。一歩進んでは一歩も二歩も下がる取り組みをスタートさせていく。

社会人になってから最も先行き不透明な仕事をしている印象を受けていた。
新規事業を開発するという目的は明確だが、目標は曖昧、そしてどうなるかが予想ができなかった。

私の上司も含めて雲をつかむような感覚と表現するくらい不安ではあったが、そこにわくわくできる自分もいた。

それくらいの気持ちでないと新規事業開発などやってられない。

こうして1歩目を踏み出したわけだが、2歩目3歩目を何の拠り所もなく進むわけにはいかず、自分なりに新規事業に関する知識という「武器」を携えて進んでいく。

次回はどのような内容を自ら学び前に進んでいったかを綴っていく。

前の話 ~想いなしでは始まらない~

次の話 〜知識の獲得と手法の理解〜